◆意外と短い表札の歴史
家を新築する際、表札をどのようなデザインにするか迷う方も多いと思います。
お客様が最初に目にする“家の顔”ともなる表札は、その家に住む人の個性を端的に表すものと言えるでしょう。
では、家の前に表札を掲げる歴史はいつごろ始まったのでしょうか。
実は、一般家庭に表札が導入されたのはそう古い時代ではないのです。
江戸時代の庶民は公的に苗字を持っていなかったし、遠くの町に転居することは滅多になかったため、近所はほとんど顔見知りでした。
わざわざ表札を掲げなくても、「甚兵衛さんの家はどこでしょうか」と尋ねれば、すぐに教えてもらえたのです。
特に長屋では入口に住人の一覧が掲げられていたので、大家と店子は家族のような付き合いがありました。
表札などがなくても、大家さんを窓口にして十分に交流ができたのです。
表札が一般的になったのは、明治4年に戸籍法が制定され、庶民が苗字を持つようになってからです。
同年、郵便制度が施工され、住所と名前によって郵便物が届けられるようになりました。
「どの家に誰が住んでいるのか」を示すため、表札が使われるようになったのです。
そして、表札が一気に広がるきっかけとなったのが1923年(大正12年)9月1日に起こった関東大震災です。
多くの家屋が倒壊し、同じ場所に再建できるとは限らなかったため、誰がどこに移転したのかわかるよう、表札が役立てられました。
◆表札の材質 表札の様式いろいろ
当初、表札の材質は木が主流でした。
一部の富裕層の間では陶器製のものなども流行しましたが、庶民には木製の表札が一般的でした。
昭和の高度成長期になると、住宅の造りも贅沢になり、御影石や大理石などの石製、陶板などさまざまな材質の表札が登場。
デザインも凝ったものが増え、洋風住宅の普及に合わせてローマ字表記や紋様を取り入れた個性的なものも珍しくなくなりました。
また、古くから血族関係のある家がまとまって暮らす地域では、同じ苗字の家が立ち並ぶこともあり、家族の名前を列記した表札も多く見られます。
近年では、家族の名前のほか、ペットの名前を添えるケースも増え、暮らし方の多様化が表札にも表れています。
材質もガラス製やタイル製、アルミ・ステンレスなど強度や耐候性に優れた素材が主流になり、デザイン性と機能性の両立が進んでいます。
◆外国における表札事情と、住所の表記
では、外国には表札があるのでしょうか?
実は、欧米では「誰がどこに住んでいるか」は重要な個人情報とされ、表札を掲げる文化はほとんどありません。
その代わり、住所の表記に工夫があります。
日本でいえば京都の「○○通り△△東入ル」のように、通りの交差や方向を示すことで場所を特定できるようにしています。
欧米でも番地とストリート名の組み合わせで位置を特定できるため、表札を掲げる必要がないのです。
一方で中南米やタイなど、一部の地域では名前とともに職業や身分を併記した表札が見られることもあります。
国や文化によって、“住まいを示すサイン”のあり方もさまざまです。
◆表札を掲げるには、防犯上の問題も
近年では、欧米的な個人主義の影響もあり、苗字も個人情報のひとつとして、表札を掲げるのをためらう人もいます。
実際に、名前を知られたことで犯罪に巻き込まれたケースや、営業・訪問目的のマーキング被害なども報告されています。
こうした背景から、「表札を出すこと」そのものを見直す動きも見られますが、完全になくすよりも、“安心して掲げられる工夫”をすることが大切です。
たとえば、
苗字だけを記載し、個人特定を避ける
ローマ字やイニシャル表記にして柔らかい印象に
門柱や塀など、道路から少し離れた位置に設置する
夜間も安心な照明付き表札にして防犯性を高める
定期的に玄関まわりをチェックし、不審な印やマーキングがないか確認する
といった工夫で、防犯面とデザイン性を両立できます。
また、家族全員の名前を並べてしまうと個人情報が多くなるため、近年では「苗字+ワンポイントデザイン」や「イニシャル+表札灯」など、控えめながらも印象的なデザインを選ぶ方が増えています。
表札は、単なる“名前を出す板”ではなく、“家の個性をどう見せるか”を表す大切な要素。
安全とデザインの両方を意識しながら、暮らしに合った表札選びを楽しんでみてください。
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